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2024/12/23 12:25

 自然素材、ここでは主に木や竹のことですが、私は木の素材に魅せられ、もう30年、木材と向かい合ってきましたが、いまだに全てにおいて確信にまで至るには程遠いと感じています。もちろんそれなりに分かることも増えてきておりますが、同時に分からないことも同じように増えていると言っても過言ではない感じがします。木が持っている音、素材感、ますます魅入られます。

 30年もかかって、私が確認した木材の種類は約150種類。多いと思われる方がいるかもしれませんが、この程度の種類では自然界に存在する木の世界から見たら、ほんの微々たるものです。ただ150種類のほとんどが日本の木ですので、木材業界に出回っている木の傾向は、それなりに把握できている部分もあります。しかし、自分は木のプロフェッショナルだと思う次元に至るには、ちょっと残りの寿命が足りないかもしれませんね。そんな状況の中に、今度は竹素材が入ってきましたから、ますます寿命が足りないことでしょう。
 さて、竹素材を扱う難しさ、その第2段ですが、写真のごとくです。素材の乾燥と加工を交互に、慎重に進めながらも、割れるものは割れます。加工前に割れてくれればまだしも、5割進んだところでとか、8割、9割まで進み、もう少しで仕上がると思っていても、割れるものは割れます。数は少ないですが、仕上がった後、しばらくして割れるものもあります。お客様のところに届いて割れた例も、今年は1件ありました。この割れとの戦いも、自然素材を扱う難しさです。
 割れ、と一言で言いましても、その原因は様々でしょう。今は、加工しながらその原因を想像し、分類していると言った段階です。色々とわかってきましたが、これは自然素材を扱うノウハウの核心部分でもあり、なかなか申し上げることはできませんが、人間の立場で介入する事ができるのは、できるだけ割れない条件を作ろうとサポートするだけです。そうしても10%減らせるか20%減らせるかぐらいの違いだと思います。ただこの竹の割れという現象は、音の世界では、竹素材がもつ魅力と裏腹なのです。表面がパンパンに張った危うい状態、これが魅力の元なのですが、不思議なことに、竹の筒を面で潰そうとしたら1トンの力が必要なのだそうです。これも自然素材の面白さでしょう。そしてこれらの性質がすべ音に反映されているというのは、音の面白さでしょう。(つづく)

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Harmonic Speaker 空、Sound Mirror 響ともに「オーディオ・アクセサリー銘機賞、特別賞」を受賞いたしました。